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アスベスト調査業者の選び方について

アスベスト調査は、専門業者が行わないといけないという決まりはないですが、公的機関に調査結果の書面を提出しないといけないため、専門的な知識をもった人が在籍する業者への依頼が良いです。アスベスト調査の資格として厚生労働省から出された石綿指針では、「アスベストに関し広い知見を有する者」とされ、「石綿作業主任者」や「アスベスト診断士」があります。アスベストに関する法令や規則は随時更新され改正されています。2020年7月1日では石綿障害予防規則(石綿則)などが改正されました。また、アスベスト規制強化によって改正大気汚染防止案は、2020年6月に成立され公布され、2021年4月などから執行されることとなっています。このような法改正や細かい変更事項があるため、法改正などに詳しい資格保有者や専門業者への依頼が一番安心です。いくつかの業者に見積りをとり、詳細を確認することはもちろんですが、過去の報告書作成実績数や調査対象範囲の確認も合わせて行い、複数業者と比較検討することをおすすめします。

■アスベスト調査に関する資格について

①石綿作業主任者(厚生労働省)

労働安全衛生法第14条、石綿障害予防規則第19、20条により、「事業者は、石綿取扱い作業については、石綿作業主任者を選任して、作業に従事する労働者の指揮、保護具の使用状況の監視等の職務を遂行させなければなりません」とされており、労働安全衛生法に定められた作業主任者のひとつです。石綿を製造または取扱う作業の主任者で、事業者により選任され、石綿による身体的な被害防止の指揮・監督を行う人となります。石綿作業主任者は、国家資格のひとつで、講習を受講するだけで取得できるものとなります。講習の内容は専門性の高いものですが、専門知識がない方でも丁寧に教えてもらえるため、学びながら資格を取得できます。最後に簡単な修了考査がありますが、講習を受けていればほぼ資格が取得できます。

②アスベスト診断士(一般社団法人 JATI協会)

石綿に関する基礎知識を広く有し、既存建築物等に使用されているアスベストの調査や安全な取り扱いに関して適切なアドバイスを行える人材の育成をめざして発足された旧社団法人日本石綿協会の資格です。アスベスト診断士は、アスベストが使用されている箇所の診断、使用されているアスベストの処理の必要有無の判断、アスベストが含まれている製品などの処理工事に関する工事の適正チェックを主に行います。アスベスト診断士の資格保有者は、習得した知識にてアスベスト含有製品などの処理に携わる労働者に教育を行うこともできます。一般社団法人JATI協会が開催する3日間の「アスベスト診断士養成研修会」に参加し試験に合格することで取得できる資格となります。

③建築物石綿含有建材調査者(国土交通省)

資格の中で最も重要視されている国土交通省発足の資格です。建築物の通常の使用状態における石綿含有建材の使用実態を的確かつ効率的に把握するため、中立かつ公正に正確な調査を行うことができる建築物石綿含有建材調査者の育成を図ることを目的として定められたものです。2日間の座学を通じ関係法令や石綿の関連疾患とリスク、建築物の構造・建材等に関する知識と、通常の使用状態における建築物の石綿含有建材に関する調査に加え、解体作業等においての事前調査にも対応した知識を習得し、講義終了後の筆記試験に合格すると『一般建築物石綿含有建材調査者』の修了証明書が付与されます。

④酸素欠乏・硫化水素危険作業主任者(厚生労働省)

厚生労働省発足のトンネルや下水道などの酸素欠乏・硫化水素中毒危険作業場所に係る作業で、以下を行う責任者です。

  1. 酸素欠乏等の空気を吸入しないように、作業方法を決定し、労働者を指揮する
  2. 作業を行う場所の空気中の酸素及び硫化水素の濃度を測定する
  3. 測定器具、換気装置、空気呼吸器等その他労働者が酸素欠乏症にかかることを防止するための器具または設備を点検する
  4. 空気呼吸器等の使用状況の監視を行う

⑤作業環境測定士(厚生労働省)

厚生労働省が定める国家資格のひとつで、アスベストなどの有害物質が発生しうる工事現場などの環境改善や労働者の健康を守ることを目的として、職場における有害物質などの測定を行います。主に以下の条件がそろった現場が対象となります。

  1. 高温・低温の物質を扱う、または作業を行う現場

加熱した金属の加工などを行う現場では火傷など大きなケガが発生するリスクがあります。そのような高温や低温の物質を取り扱う作業を行う現場では作業環境測定士の監督が必要となります。

  • 異常な気圧下で作業を行う現場

高山や海中など、気圧の変化が発生する作業現場では、体調を崩す可能性が大いに発生します。異常な気圧の変化が伴う場合にも、作業環境測定士の調査や監督下にて作業を行うようになります。

  • 有害物質を取り扱う現場

アスベストのように健康被害をもたらす有害物質を取り扱う作業現場では、健康被害を最大限に減少させるために、適切な作業を行えるよう、作業環境測定士の指示が必要となります。

  • 極端に大きな騒音が発生する現場

建設現場などではよくある異常に大きな騒音が発生する場合、労働者の聴覚などに障害が発生するリスクがあります。そのような場合は、作業環境測定士が騒音レベル数値を測定し環境の改善や対策を図ることが必要となります。

■アスベスト調査内容について

アスベストについては、0.1%を超えて含有している吹き付け材や保温材などの使用が現在禁止されています。それに該当するか否かのアスベスト調査方法には主に2つの方法があります。「定性分析」と「定量分析」があり、「定性分析」は肉眼や実体顕微鏡を使用して対象物の観察を行い、アスベストが含まれているか否かを分析します。「定量分析」は、アスベストが含まれていると判断された場合に含有率を分析します。アスベストが含まれているか否かのみではなく含有率を知るには「定性分析」と「定量分析」をセットで行う必要があります。

【定性分析について】

定性分析については、上記にて述べたように、肉眼や実体顕微鏡を使用して対象物質の観察を行います。試料の調製では「灰化(485度で10時間加熱)」、「酸処理」、「浮遊沈降(沈殿性及び浮揚性によって分離)」といった調製を行っていきます。双眼実体顕微鏡検査では、アスベストの各繊維を適切な液体に浸し、顕微鏡のスライドに載せて試料の調製を行います。浸液の量は各繊維によって異なります。(クリソタイル:1,550、アモサイト:1,680、クロシドライト:1,700、トレモライト:1,605、アンソフィライト:1,605、アクチノライト:1,630、リヒテライト/ウィンチャイト:1,630)検査後、対象物質の形や色、複屈折、消光角などの確認を行い最終的なアスベストの同定判断を行っていきます。

■アスベスト調査費用について

①事前調査(書面調査、現場調査)費用

書面調査費用相場:1現場に対して2~3万円

現場調査費用相場:1現場に対して2~5万円

詳細調査を行う前に、図面などの書面や発注者や工事関係者からのヒアリングから石綿の使用の有無に関係する情報を聞き取り、主に、建築物の名称や所在地、構造、設計者、施工者、工事管理者、施工年月日、調査対象とされている項目や、劣化現象の有無、改修履歴、周囲の地域や環境などを把握します。それによって、現地にての調査を効率的かつ漏れがないよう行います。また、それを元に、実際に現場にて目視調査を行います。図面が断片的であったり、リフォームなどにより当初の図面と異なる状況になっている可能性があるので、書面調査のみで調査を完結させることはできません。

②分析費用(分析、定量分析、定性・定量分析)

定性分析費用相場:1検体あたり3~5万円

定量分析(X線回析分析法)費用相場:1検体あたり3~5万円

定性分析+定量分析費用相場:1検体あたり4~10万円

調査会社によって費用に幅があるため、複数調査会社の見積と調査詳細を確認することをおすすめします。また、1検体あたりに費用が発生するため、検体数に応じて費用もかかってきます。X 線回折について、試料にX線を照射することで、構成原子によって X線が散乱します。物質固有の結晶構造を調べることでアスベスト含有の有無を調べます。また、回折X線の強度から、アスベストの含有率(定量分析)が分かります。

③アスベスト粉じん濃度測定費用

敷地内環境(総合繊維数):1カ所約5,000円

室内環境(総合繊維数):1カ所約5,000円

アスベスト除去工事現場(総合繊維数):1カ所約5,000円

分析走査電子顕微鏡法(アスベストの同定):1カ所約20,000円

大気中のアスベスト粉じん濃度を測定する検査です。アスベスト粉じん濃度測定に関しては、1~3日程度で完了します。

④アスベスト調査の料金例

アスベスト調査の相場をインターネットで検索すると3~5万円と出てくることが多いですが、定性調査のみや定量調査のみといった部分的な調査の費用となります。分析や調査に関して、トータル的には20~40万円程することが多くあります。基本的には、床面積に比例して調査にかかる費用も高くなっていきます。

【アスベスト調査の料金例】

・鉄筋コンクリート造2階建(床面積365㎡):15万円

・鉄骨造2階建(床面積688㎡):18万円

・鉄筋コンクリート造2階建(1,185㎡):20万円

・鉄筋コンクリート+鉄骨+木造3階建て(3,484㎡):30万円

・鉄筋コンクリート造5階建3棟(4,882㎡):40万円

■アスベスト調査会社選定のポイント

①調査実績(報告書の作成実績、過去対応件数)

調査結果を公的機関に提出するにあたって、漏れがあってはなりません。図面にもとづいて調査をすればいいといった考えは間違えで、図面が存在しないケースや、リフォームなどを行ったことにより当初の図面と異なる造りになっていたり、想定外の箇所にアスベストが使用されていることが大いにあります。これまでの調査実績やノウハウを多くもつ業者であれば、過去の経験により、見落としがちな箇所まで細かく丁寧にスピーディかつ正確に調査が可能です。そのため、「石綿作業主任者」や「アスベスト診断士」などといった、アスベスト調査に関する資格を保有する人が在籍する業者へ依頼がより安心した調査結果を得ることができます。

②アスベスト調査に関する資格保有者の有無、資格の種類

アスベスト含有量の分析や粉じん濃度測定を行う場合では、資格(社団法人日本作業環境測定協会AランクまたはBランク認定分析技術者、都道府県労働局長または厚生労働大臣によって登録された作業環境測定機関、建築物石綿含有建材調査者)を保有していることが必要となります。上記と同様の内容になりますが、調査員がいる会社へ依頼しないと調査内容に不備が発生するリスクがでてきてしまいます。アスベスト調査に資格は義務付けられてはいませんが、信憑性として、資格保有者がいる業者への依頼が一番です。

③料金の提示

ざっくりの金額提示によって、契約後に追加料金が膨れていき当初の想定以上の費用が発生することも考えられます。調査対象や範囲を業者と面談の上ではっきりさせ、それに対する費用とどこまで調査が必要かを事前に確認することをおすすめします。また、万が一どんなときに追加費用が発生するか、またどんなオプションがあるかも事前に確認するといいでしょう。

■日本環境エンジニアリングについて

日本環境エンジニアリングでは、対応スピードを心がけており、お問合せいただいた当日から遅くとも翌営業日に対応をしております。弊社担当者にてヒアリングをさせていただいた上で、以下の流れで調査を行っていきます。

①書面調査(確認申請書や設計図書などを用い、調査対象の範囲を確認)

②サンプリング(書面調査で確認した箇所のサンプリング)

③分析(定性分析&定量分析)

④報告書(公的機関に使用可能)

お客様の知りたい情報の提供や、現場石綿含有建材の見落とし部分の指摘など、法改正に当たって必要な対策や手続きに則った調査を行っております。上記にて記載の通り、予想外の箇所に石綿を含有する建材が使われていることは稀ではありません。日本環境エンジニアリングでは過去の実績とノウハウをもとに調査を行っておりますので、安心してご相談ください。