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アスベスト調査方法について

■アスベストとは

アスベストとは、6種類の天然にできた鉱物繊維で、「石綿」(せきめん、いしわた)とも呼ばれています。その繊維の細さは、肉眼では見ることができない髪の毛の細さのおよそ5,000分の1と言われています。耐熱性や耐久性、耐薬品性、電気絶縁性などに優れており、比較的価格帯が安いということもあるため、私たちの日常の生活にて日々接している建設資材、電気製品、自動車、家庭用品など、さまざまな用途に幅広く使用されてきました。アスベストは3000種といわれるほど幅広い用途で多く使用され、主には石綿工業製品と建材製品に分けられ、その8割以上は建材製品です。

しかし、アスベストはとても細かい繊維状のため、とても軽く飛散しやすい性質を持っています。これらのアスベストを吸い込むと、平均20年~40年の月日を経て、肺がんや悪性中皮腫を引き起こすことが分かっています。また、喫煙者の肺がん発症リスクは、非喫煙者に比べて高いということはよく知られていますが、アスベスト製品の製造に携わっていた人における喫煙者の肺がんリスクは一般のそれよりもさらに高くなるということも分かっています。アスベストによる病気は、治りにくい病気が多く、健康に被害を与える物質の1つとして、建物にこれらの物質の1つでも検出されるとアスベスト除去の工事を必要としています。

以前アスベストの規制対象は3種類(アモサイト、クロシドライト、クリソタイル)でしたが、平成20年2月6日に厚生労働省にて新しく3種類(トレモライト、アクチノライト、アンソフィライト)の物質がアスベストの規制対象となりました。現在は、これらの6種類(アモサイト、クロシドライト、クリソタイル、トレモライト、アクチノライト、アンソフィライト)の物質が建物のアスベスト調査の対象となっています。そのため、平成20年2月5日以前に3種類(アモサイト、クロシドライト、クリソタイル)のアスベスト調査で問題がなかったとしても、現在は追加で3種類(トレモライト、アクチノライト、アンソフィライト)の調査が必要とされているため、今後建物の建て替えやリフォームを行う際に、アスベストが見つかるという可能性は大いにあります。

■アスベストの種類について

アスベストの種類には以下6つの物質が存在します。

  • アモサイト

茶石綿(ちゃいしわた)とも言います。アモサイトは、角閃石綿の一種で、主に各種断熱保温材に使用されています。蛇紋石系の③クリソタイルに比べて発癌性が強いとされ、平成7年から製造・輸入・使用等が禁止されています。

  • クロシドライト

青石綿(あおいしわた)とも言います。クロシドライトは、角閃石綿の一種で、含有する酸化鉄のために青い色をしており、針状に尖った繊維でできています。非常に耐酸性が強く、高強度ではありますが、①アモサイトや③クリソタイルに比べると耐久性はやや弱い物質となります。 この特質を利用して、吹付け石綿や、石綿セメント高圧管などに用いられています。アスベストの中でも毒性が高いと言われています。

  • クリソタイル

白石綿(しろいしわた)・温石綿(おんいしわた)とも言われています。クリソタイルは、カナダで生産されている石綿で、世界で生産され使用されている石綿の約9割がクリソタイルになります。

  • トレモライト石綿

角閃石綿の一種で、吹付け石綿として一部に使用され、タルク(滑石)や蛭石などの不純物として含まれる石綿です。

  • アクチノライト石綿

角閃石綿の一種で、④トレモライト石綿と⑥アンソフィライト石綿と同様に、タルクや蛭石などの不純物として含まれます。

  • アンソフィライト石綿

角閃石綿の一種で、主に熊本県にある鉱山で採取されていました。④トレモライト石綿や⑤アクチノライト石綿と同様にタルクや蛭石などの不純物として含まれます。2004年以降は生産・使用が禁止されています。

■アスベストの使用されている箇所

耐熱性や耐久性、耐薬品性、電気絶縁性などに優れていることから、「火を取り扱う場所」「音が響きやすい」「湿気が強い」「保温や保冷をしたい」とされる場所に主にアスベストは使用されています。主に一般住宅での施工箇所としては、外壁(窯業系サイディング、建材複合金属系サイディング、モルタル、仕上塗材)や屋根(住宅屋根用化粧スレート瓦、ルーフィング)、軒天(けい酸カルシウム板第1種)、内装(ケイ酸カルシウム板第1種、石膏ボード、壁紙、ビニル床タイル、ビニル床シート)があげられます。しかし、これらの建材については、劣化や解体をしなければアスベストが飛散するリスクは低いと言われています。木造住宅ではほぼ使用されていませんが、店舗併設の住宅や共同住宅などの鉄骨・鉄筋造の住宅で使用されている吹き付けアスベストが最も飛散リスクが高いと言われています。吹き付けアスベストとは、アスベストとセメントとを一定割合で水を加えて混合し、吹き付け施工したものをいいます。主に、建築物の鉄骨材などの耐火被覆、ビルの機械室、空調機械室などの吸音、断熱材として使用されています。

■アスベスト事前調査の方法

事前調査とは、工事前に建築物等に使用されている建材の石綿含有の有無を調査することを指します。調査は石綿含有無しの証明を行うことから始まり、その証明ができない場合は分析調査を行うか、石綿含有とみなすこととなります。 建築基準法など各種法律に基づいて施工された石綿含有建材以外にも、リフォームや補修などによって、想定できないような場所に石綿が使用されている場合もあるため、実績のある専門業者に依頼し、見落とさないように注意が必要です。

事前調査の第一段階は、書面による調査になります。詳細調査を行う前に、図面などの書面や発注者や工事関係者からのヒアリングから石綿の使用の有無に関係する情報を聞き取ります。主に、建築物の名称や所在地、構造、設計者、施工者、工事管理者、施工年月日、調査対象とされている項目や、劣化現象の有無、改修履歴、周囲の地域や環境などを把握します。それによって、現地にての調査を効率的かつ漏れがないよう行います。

事前調査の基本は「現場」「現物」「現実」の3つを徹底することです。図面などが断片的であったり、存在しない場合でも建物の各階のレイアウトや建物履歴などをヒアリングし推測を行う必要があります。また、設計図書などの書面は石綿含有建材の使用についてを全て正確かつ明確に記載しているものではなく、建築物の現状を現したものとは限らないため、目視調査をしないで、書面調査のみの判定で調査を確定し終了してはいけないとされています。

第二段階では、書面調査をベースに現地にて目視調査に入っていきます。目視調査では、内装や下地の内側など、外観からでは直接確認できない部分を含め、建材の使用箇所に漏れがないように注意します。既存塗膜の劣化状況を把握し、その原因調査、既存塗膜の付着の強さの確認、コンクリートの調査を行います。既存塗膜については、主に変色や脱色、汚れ、剥がれ、膨れ、光沢低下、割れなどを各種調査法によって調べます。また、

建材の種類や商品を特定し、石綿含有の有無を判断していきます。事前調査では、解体、改修などを行う全ての建材が対象となります。建築物などに使用されている建材の使用箇所、種類などを漏れなく把握できるように、必要がある場合は建材の取り外しなども行います。また、これらの調査結果の根拠などを現場メモとして記載して残す必要があります。

現場調査の後は、目視調査の結果にて建材の石綿含有の有無を判断します。判断は「読み取った建材情報と各種情報との照合による判断」「分析による判定」「石綿含有みなし」として判定します。「読み取った建材情報と各種情報との照合による判断」は、目視調査の情報を元に、石綿含有の仮判定に記載の方法で石綿含有の有無の判断を行います。「分析による判断」は、試験採取・分析のとおりに試験採取を行い、分析を行います。「石綿含有とみなし」は、建築物などに対する調査を行った結果、石綿含有の有無が不明である場合において分析を行うが、事業者や発注者などの判断によって、分析を行わずに石綿含有「みなし」とすることができます。

事前調査を行った業者は、現場メモを元に、これらの調査・分析結果の記録と報告書を作成します。報告書の内容としては、「石綿含有建材の有無と使用箇所」「石綿含有の有無の判断の根拠」「調査を行った者」「調査の範囲」を記載することで、作業後にも調査が的確であったかを検証できるようにしておくことが必要です。

■アスベスト調査に関する規則(石綿障害予防規則(石綿則)第3条)

石綿障害予防規則(石綿則)第3条第1項にて、「事業者は、次に掲げる作業を行うときは、石綿等による労働者の健康障害を防止するため、あらかじめ、当該建築物、工作物又は船舶(鋼製の船舶に限る。以下同じ。)について、石綿等の使用の有無を目視、 設計図書等により調査し、その結果を記録しておかなければならない。 一 建築物、工作物又は船舶の解体、破砕等の作業(石綿等の除去の作業を含む。以下「解体等の作業」という。) 二 第十条第一項の規定による石綿等の封じ込め又は囲い込みの作業」としており、アスベストによる労働者の健康被害を防止するために、事業者はアスベストを使用した物がないかを設計資料などに基づき調査をするように定められています。

また、石綿則第3条第2項には、「事業者は、前項の調査を行ったにもかかわらず、当該建築物、工作物又は船舶について石綿等の使用の有無が明らかとならなかったときは、石綿等の使用の有無を分析により調査し、その結果を記録しておかなければならない。ただし、当該建築物、工作物又は船舶について石綿等が吹き付けられていないことが明らか である場合において、事業者が、当該建築物、工作物又は船舶について石綿等が使用されているものとみなして労働安全衛生法 (以下「法」という。)及びこれに基づく命令に規定する措置を講ずるときは、この限りでない。」と記載されており、同条第1項の調査を行ったにもかかわらず、アスベストを使用したか否かがはっきりしない場合は、事業者はアスベストを含有した物がないかを分析により調査することが定められています。

事前調査にあたっては、「建築物石綿含有建材調査者」「石綿作業主任者技能講習修了者のうち石綿等の除去等の作業の経験を有する者」「日本アスベスト調査診断協会に登録された者」が行うことが推奨されています。また、採取した物を分析する場合は、「作業環境測定士」の資格を持った技術者が在籍している、「作業環境測定機関」の登録を受けた測定機関に依頼しなければなりません。

■日本環境エンジニアリングのアスベスト調査

2006年以前の建物の場合は、外壁や屋根等にアスベストが含まれている可能性があります。アスベストに関する知識がないと個人にてアスベストが使用されているかの調査はかなり厳しいです。そのため、アスベストが含まれているか否かは建築物石綿含有建材調査者や石綿作業主任者、日本アスベスト調査診断協会に登録された者などがいる専門業者に調査を依頼することをおすすめします。

また、建物の解体・改修を行う場合『事前調査』が法で定められています。 建物の売買や賃借等の場合でもアスベスト含有の報告が求められます。 解体工事は今後増加し、2028年にピークを迎えます。

日本環境エンジニアリングでは、対応スピードを心がけており、お問合せいただいた当日から遅くとも翌営業日に対応をしております。弊社担当者にてヒアリングをさせていただいた上で、以下の流れで調査を行っていきます。

①書面調査(確認申請書や設計図書などを用い、調査対象の範囲を確認)

②サンプリング(書面調査で確認した箇所のサンプリング)

③分析(定性分析&定量分析)

④報告書(公的機関に使用可能)

お客様の知りたい情報の提供や、現場石綿含有建材の見落とし部分の指摘など、法改正に当たって必要な対策や手続きに則った調査を行っております。上記にて記載の通り、予想外の箇所に石綿を含有する建材が使われていることは稀ではありません。日本環境エンジニアリングでは過去の実績とノウハウをもとに調査を行っておりますので、安心してご相談ください。